建物と外構(エクステリア)の取り合いついて

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一般的には建物の設計が先にありきで外構計画はその後というふうになっています。しかし外構計画を進めるにあたり建物が出来上がってからでは取り返しがつかないことがいくつかあります。
そのポイントを私たちは建物との「とりあい」と呼んでいます。
「とりあい」が悪いと せっかく完成したものを壊してやり直さなければならない場合
や、不自由だけれどあきらめるか  なんていうことにもなってしまいます。

ここでは事前にチェックできる事柄をいくつかご紹介します。そのポイントの中には建物工事が着工してからでも間に合うものもありますし、役所申請に関わるものであれば着工前に決めておかなければならないものもあります。



マンホールや水道管 その場所でいいですか?

マンホ−ル(会所枡、点検口)は建物にとって絶対に必要なものです。会所枡、小口径の点検口は排水管が接続される部分や曲がる部分に設けられます。
これらの位置はそんなに大きく変えることは出来ません。エントランスやアプロ−チの目立つところにあたる場合は、化粧蓋を 用いて違和感無く仕上げることが出来ます。ただ事前に外構計画がある場合にはそれに沿って多少なら位置や数の変更が可能な場合もあります。

もっとも気を付けておかなければいけないのは高低差の有る 敷地でのマンホ−ル の位置と排水管の据え付け高さです。ここは要注意です。

たとえば宅地が道路より高い場合、建物が完成してから車庫部分の掘削を始めたとします、その時排水管が土間の仕上げ高さより高く配管されていた場合、掘っていくと菅が空中に浮いた状態になってしまい再度マンホ−ルの数を増やして配管のやり変えを行なう必要が出てきます。(車庫部分を掘るまでは菅は土の中に潜っているので見えません)アプロ−チ階段をつくる場合も同じことがいえます。

そうならないように特に高低差のある敷地は車庫の奥行や巾、階段の位置などをあらかじめ決めておき、その旨を設計士さんに伝え建物の給排水計画に反映してもらいましょう。



階段、アプロ−チは本当にそれでいいですか?


道路と玄関ポ−チとの間の距離があまり無い場合や高低差がある場合、建物の基本設計の段階で設計士さんが外構アプロ−チのプランも含めト−タルで考えていれば大きな問題にはなりせんが、中には「建物工事は玄関ポ−チま で」という考えの設計士さんや建築会社もあり建物が出来上がってから「道路から玄関までどうやって上がればいいの?」なんていうケ−スもあります。

また防犯のために道路沿いに門扉を設置したいと思っていても階段をとるスペ−ス が無くなってしまうのであきらめざるを得ないケ−スもあります。

そのようなことにならない為にも道路から玄関ポ−チまでの距離がなく、高低差が ある場合は要注意です。建物の設計段階で事前にチェックすることが大切です。

※外構階段の一般的な寸法は奥行30cm〜40cm、1段の蹴上げ高さは16cm〜
18cm。アプロ−チの巾については「アプロ−チをイメ−ジ」で述べています。


その基礎でガレ−ジつくれますか?


宅地盤より道路の方が低い敷地に建物が出来上がってから車庫をつくる場合、車庫スペ−スと建物 との間の距離が十分確保されていれば問題は無いのですが、そうではなく車庫スペ−スと接する ような形で建物が建てられている場合、車庫に接する部分の建物基礎は深基礎(高基礎)でなければ不都合が生じます。


土を掘っていったら建物の基礎の高さが足りずに中に浮いてしまったということ に  なってしまいます。あらかじめ深基礎(高基礎)で計画されていればそんなことには なりません。

もし普通基礎で施工 されていたときは、新たに車庫と建物の間にそれなりの強度をもつ壁を設けなければならなくなり、車庫の巾や奥行が思っていた寸法より狭くなってしまうことがあります。

ただ建物の建築確認申請にも関わってくる問題も絡んできます。深基礎(高基礎)で完成している場合、車庫部分の土を取り除けば基礎が高く見えます、そうなることにより相対的に建物が高く なったのと同じことになり高さ制限に引っ掛かるということもありえます。

車庫を完成させたことにより建物の役所検査がとおらなかったなんてことになるのです。それを避ける為にはやはり車庫と建物基礎の間にもうひとつ壁を造らなければならなくなります。 あまりスペ−スの無い敷地での掘り込み車庫の計画には注意しましょう。 「車庫や自転車置き場をイメ−ジ」で車庫の広さについて述べています。


ガス・電気・水道メ−タ−
 そこにあると邪魔になりませんか?


建物の設計と外構計画が平行して行なわれていない場合、各種メ−タ−が外構工事を行なう際に邪魔になることがあります。このメ−タ−がもうちょっと左にあれば・・・とか、メ−タ−が こんな所にあるので車が入りづらいなどの問題が生じる可能性があります。


各種メ−タ−の設置場所は基本的には検針員の方が敷地の中に入らずに外部から検針を行えるような場所に設置することとなっています。でもエクステリアのデザイン的にはあまり目立たず邪魔にならない場所に設置したいものです。

それではメ−タ−の位置を決める時に注意したいこと、まず水道メ−タ−の位置からです。門扉の正面部分や階段の途中、アプロ−チの真ん中などに設置されると見た目にも良くなく、歩きづらいなどの問題が生じます。特に水道メ−タ−の配管は地中深くに埋設されていますので 設置された後では移動するのがたいへんです。

移設するには私たちが本管割りと呼んでいる作業を行ないます。役所の許可を受け道路に埋設されている本管からの接続をやり変えます。水道工事だけではなく道路の復旧工事等の費用も余分に発生し、それに伴う費用も発生します。新たに道路を 掘って水道管を引き込むのと同じ作業が発生するという事です。但し、左右に1m程度なら敷地内で移動できる場合もあります。

新しく造成された宅地などで水道メ−タ−が既に設置されている場合などはメ−タ−を移動することなく外構プランでうまく処理することが望ましいでしょう。

ガスメ−タ−についてはクロ−ズスタイルの外構の場合、生垣の間に設置する、隙 間のあるフェンスの後ろに設置する、外周ブロック壁や門柱の後に設置して検針用 の小さな穴を明けておく などの計画であれば外部からは目立たず違和感もありません。

しかしオ−プンスタイルの場合、玄関先やアプロ−チのわき、ガレ−ジ内などに設置することとなりますが、必ずしもメ−タ−を道路の方に向けておく必要はないので車のドアの開閉や自転車を置くのに邪魔にならないような場所を選んで設置し、その足元に植栽などを施せばあまり目立たなくて洒落です。


電気メ−タ−は、直引きタイプ(建物の外壁に電柱などから直接電線を引っぱりメ−タ−も同じく建物外壁に取り付ける方法)と、引き込みポ−ルタイプ(電気、電話、ケ−ブルTV等の配線を ひとまとめにして高さ4m程のポ−ルの上部に集め、ポ−ルから建物までを地中配管としているもの)の2種類があります。

どちらの場合も原則的に自分の敷地内に電線を
引き込む際に、電線が隣の敷地(空中)に侵入しないこととされていますので敷地内のどこに引き込んでも良いというわけにはいきません。

直引きであれば外構計画とは無縁ですが、引き込みポ−ルを建てる場合は ガスメ −タ−と同じくポ−ルを建てる位置に注意してください。


庭園灯、シャッタ−用の電源はありますか?


一般的には建物内にあるインタ−フォンや外部 用の照明スイッチからの配線が壁や床下を配線され建物の外壁に取り付けられている配線ボックスというプラスティック製の四角い箱までつながれています。
 
外構工事では門灯、アプロ−チ灯、庭園灯、電 動シャッタ−や電動オ−バ−ドア用に必要な電源の接続やインタ−フォン、電気錠付門扉などからの配線の接続をこの配線ボックの中で行ないます。

建物工事においてお客様からのリクエストが無い場合、通常は配線ボックスへの配線は門灯用として1線、インタ−フォン用として1線しか用意されていないと考えておいて下さい。しかし敷地が広く 門から玄関までの距離が長いのでアプロ−チ用の照明がほしいと考えている場合や、シャッタ−を後から付けようと思っているのなら電源の数を増やすことと、建物内のスイッチの数も増やしておく必要があります。

またブレ−カ−の大きさにも関わってきますので前もって相談しておきましょう。特にシャッタ−を取り付ける場合は単独でもう1線増やされることをお薦めします。今はいらないけれど将来はわからないという方は建物内のスイッチ1ヶ所とそこから配線ボックスまでの配線を1線増やしておくほうがいいかもしれません。

ついでに外部コンセント(建物の外壁に取り付けられている防水コンセント)についても触れておきます。建物に取り付けてある外部コンセントはエアコンや空調機器の室外機用に1ヶ所しか取り付けられていないのが一般的です。

差込口が2〜3所あるのでまだプラグを差し込む余裕はあるのですが、室外機の置 かれている場所はたいてい建物の横か裏側です。敷地が狭いと人が通るのがやっとという場所に設置されていることがほとんどです。 表のガレ−ジで車の掃除をするときや、日曜 大工、芝刈りをするときなどの電源に困ります。建物をぐるりと一周して電気を引っぱってこなければならないなんてことにならないように自分達のライフワ−クを考え別の場所にもう1ヶ所あると便利ですよ。


以上、簡単に「とりあい」についてお話いたしましたが、事前に建物の担当者と打合せを行なっておけば問題は回避できますのでご安心下さい。

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